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 味方部が活躍している頃、征服部の部室にはぽつぽつと人が集まりつつあった。
現在は、部長であり星徒会副会長の秋篠夕霞、副部長の朝凪九郎、
部員の「紫閃」八草重遊、「桜流」天羽翔子の4人が集まっていた。

夕霞「さて、どうしたものか…」

 部長の夕霞が、思案顔を作る。

遊「今すぐ向かい、黒帝を連れ戻すべきです!」

 八草重が立ち上がる。

夕霞「落ち着け、八草重」

遊「しかし、あそこは味方部部室、何があるか分かりません!」

九郎「まあまあ、味方部さんが何かするという事はないでしょう」

 そう言って、遊を宥める九郎。
このまま進めば穏便に解決しそうだった状況をかき回したのは翔子だった。

翔子「分からんよー?」

翔子「向こうはこっち以上に部員が足らんし、新しい部員、それも極星となれば歓迎の渦や」

翔子「今頃、冴ちゃんは説得という名の洗脳を受け…次に出会うときには敵同士に…」

翔子(なる事はまずないやろうけどな、彼が居る限り)

 思わせぶりなことを言いつつ、九郎を見る翔子。

ガタン!

遊「やはり、今すぐ奪還に向かうべきです!」

夕霞「奪還というのも大げさだと思うが…」

夕霞「確かに、静観は出来ないな。黒帝に何が起こったかも気になる。」

 そういうと、夕霞は一度後ろを向き、立ち上がって皆の方を向いた。
 
夕霞「今いる全員で様子を見に行け。朝凪、指揮は任せた。」

 名前を呼ばれた九郎は目を瞬かせた。

九郎「この場を自分が指揮ですか…?」

夕霞「うむ、この場では適任だろう。無論、お前も行け」

 困惑している九郎に大して、夕霞は多少含みを持たせた声でそう答えた。

翔子「ところで、あきちゃんと司木君はどないしたん? もう帰ってしもたの?」

夕霞「いや、二人にはこちらに向かってもらっているところだ」

翔子「そんなら…って、二人一緒なん?」

夕霞「うむ、先ほど連絡した時は…」



 話は少し前に遡る。
翔子からの電話を受けた夕霞は、すぐに取れる者全員に声をかけた。
話の内容から察するに何かあるとも思えないが、聞いて放置というわけにもいかない事態だ。

 当然、極星を持つ二人の部員、「白煌」御堂あき,「朱砂」司木澄也にも声がかかったわけだが…

あき「もしもし、御堂ですけど」

夕霞「ああ、私だ。帰宅している所にすまない」

あき「どうしたの? 今日は確か九郎君とこの部下が活動してるんでしょ?」

夕霞「活動はそうなのだが、別件があってな。実は、黒帝が」

 状況を説明している途中に、ガーっというアスファルトを擦る音。
それは、あきの履く自作のローラーブレード「烈風」の音。
彼女は黒帝の名を聞いた瞬間に進んでいた道を引き返していたのだ。

あき「何があったの?!」

夕霞「意識を失って、味方部の部室に運び込まれたそうだ」

あき「すぐに戻る!5分…いや、10分待って!」

夕霞「そうか。では、部室に戻る必要は無い。直接現場に向かってくれ」

あき「わかった!」

夕霞「頼んだぞ。…後は朱砂か…」

澄也「自分もすぐ戻るんで大丈夫です!」

あき「ちょっと!司木くん?!」

夕霞「ん?お前達一緒に居たのか?」

あき「やめ…!」

澄也「そうです。下校中でした。すぐ戻りますんで!」

夕霞「そうかそうか…」

 その呟きが多分に楽しみを含むものである事を、
あきは口調から察して走りながら頭を抱え込んだ。

夕霞「前言撤回だ。急がなくてもいい。ゆっくり来い、『一緒に』な」

 そういって、電話は切れた。
次の瞬間澄也を待っていたのはあきの怒鳴り声だった。

あき「司木くん!何でそこで電話に出るかな!?」

澄也「い、いやだって、部長も1回の電話で事が済む方がいいじゃないですか。緊急事態みたいでしたし」

あき「!確かにそうだけど〜〜っ!ああもうっ!!」

 そんな感じで色々考えるあきと、あまり考えていない澄也は着々と学校へ近づいていた。



夕霞「…という事で、二人もこちらに向かっている」

翔子「なるほどなぁ…(いいネタ手に入れたわ…♪)」

 表裏共に重要な情報を手にした翔子は、
皆に分からないように夕霞と目を合わせてにやりと微笑んだ。
その笑みは、まさに悪の組織のボスが悪巧みをしているように見えたかもしれない。

 そんな事を微塵も感じさせない声で翔子が話し出した。

翔子「それなら、八草重君は居残りやね」

遊「なっ!? 何を言ってる!」

翔子「そりゃ、夕霞ちゃんの護衛に決まっとるやん」

夕霞「私の護衛…?」

翔子「そうや。今居る面子が出払った後に味方部が来たら終わりやし。
   ま、無いとは思うけどな。一応護衛付けとこうかなと」

遊「し、しかし…!」

翔子「なんや、八草重君は夕霞ちゃんの護衛は嫌なんかぁ」

遊「だ、誰がそんな事を言った!」

翔子「だって乗り気やないし」

遊「そんな事は無い!ただ向かう戦力が落ちるという問題がだな!むしろ私として…」

 そこで口をつぐむ遊。それをニヤニヤしながら見る翔子。
…明らかに遊ばれているが気にする余裕は今の遊には無い。

翔子「なら、決まりやね!」

翔子「九郎君とうちが、あきちゃんと司木君と合流しながら味方部部室へ向かう。
   あきちゃん達には味方部部室がある校舎に向かってって伝えてな。」

夕霞「もう伝えてある。」

翔子「ほな、早速いこ!朝凪ちゃん、号令頼むわ」

 色々なやり取りを聞いていた九郎はいきなり振られて慌てふためく。

遊「しっかりしろ!指揮はお前だろうが!黒帝を助けたくないのか!?」

 そんな九郎を嗜め、冷静さを戻させたのは意外にも遊の一言だった。

九郎「…分かりました。それでは…」

九郎「只今より、味方部部室へ向かいます。目的は黒帝、鴇神冴の状況確認及び奪還です」

翔子「了解ー」


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