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 入学式が終った後は、簡単なHRがあって解散した。
放課後の学校には部活の勧誘などが多数あり、
例によって目立っている留美は多数の勧誘を受けたが、全て断った。
 今のところ、部活に入る気は無いからだ。
中学までは剣道をやっていた。段位を持つ人と互角に戦えるまでになったが、
腰を悪くしてしまい剣道からは引退する事になった。
 何より、乙女と剣道はあまり合致しない言葉のような
それでも留美の頭の中では剣道は乙女とかけ離れた位置にあった。
 あまりに勧誘がうるさいので、少し駆け足で学校を出る。
朝を思い出して一応マリア像ではお祈りをささげつつ。

 リリアンの校門から外へ出て歩く。
リリアン構内から留美が乗る電車の駅までバスも出ているが、
歩いて行ってもそう遠くは無かった。日も明るいので運動も兼ねて歩いていった。
今回はそれが幸いした。



 さてどうしよう。薄暗い通路で雪見はそう考えた。
相手は中学生といえども男の子、しかも路地裏で4人に囲まれるという
あまりにもベタでピンチな状況にも関わらず頭は冷静だった。
 きっかけもベタベタ。本屋で万引きをしようとしていた彼等を咎めたのが原因だ。
そんな事然るべき機関に任せればいいのだが、どうも正義感やおせっかいが出てしまう。
卒業されたお姉様の影響が出てきたのかしら。
 自分たちが有利になったと思ったのか、
いやらしい笑いを振り撒いた男達は、自分ににじり寄ってくる。
その中のガキ大将と思しき、他より少し体格のいい男が、
上から見下ろすようにして口を開く。出た言葉は予想通りだった。

 さっきの事チクったらただじゃおかねぇぞ…?

これだけ凄んでいても親や学校にばれる事が怖いのだろう。
ばれるのが怖いなら最初からしなければいいじゃないの。
ここら辺でも正義感は出てしまうのか、思ったことが口に出た模様。
男達の顔色が変わり、そのうちの一人がナイフを持ち出したのを見て、
雪見の顔色も変わった。拙い、逆上している。

 押されて体が壁にぶつかる。
髪が体と壁の間に入ったらしく、簾が当たったような感覚があった。
そこに男がナイフを突き立てようとする。思わず、ひっと声が漏れた。

 そして次の瞬間、音と声と共に男は吹き飛んだ。

「あんた達!何やってんのよ!」

 瞑った目を開いて声の方向を見ると、前に何かの本で見た正眼の構えで木の棒を持つ少女が居た。
先ほどのガッ!という音はナイフを持つ少年に木の棒が当たった音か。
1mほど吹き飛ばされて起き上がってこない少年を見ながらそう思った。
 突然一人やられた事で少年達に動揺が走る。
しかし、プライドもあるのか他の少年が少女に襲い掛かる。
女の癖に…!
 そんな言葉を発しながら襲い掛かる少年を腹への突きで一蹴した少女は、残り2人に向かって叫ぶ。
「女だからって、甘く見ないでよね!」
 それを聞いた少年達は今度は2人同時に襲い掛かった。
先に襲い掛かった少年を交わしてすれ違いざまに一撃。
続く先のガキ大将を迎撃すべく身体を捻った所で、
「うぁっ…!」
 という声を出して片膝をついた。腰の辺りに手を当てている。
ガキ大将の方はそのまま振りかぶった拳を下ろそうとしている。
このままだと顔に直撃する!
 そう考えた瞬間、雪見の体が動く。ガキ大将の後ろから
振りかぶった拳に向かって手を伸ばし、羽交い絞めにした。
畜生!離せ!
 それがガキ大将の言った最後の言葉。
「面!」
 その言葉と共にガキ大将の頭に放たれた木の棒が、ガキ大将の意識を奪ったからだ。
 伸ばした手はすぐに振り払われたが、1秒でも隙を作れば目の前の少女にとっては十分だったようだ。
かくして、路地裏の攻防は幕を閉じた。

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