「見て!『ナイト・オブ・リリアン』の留美さまよ!」 「凛々しい…」 「素敵…」 それはマリア祭の日、おメダイを貰う為に1年生が校庭に並んでいる時の事だった。 他のクラスメイト達は、少し前に起こった暴走族によるリリアン襲撃という大事件で、 一躍英雄となった2年松組の七瀬留美さまに釘付けになっていた。 しかし、私こと倉田佐祐理は、その隣に居る緑髪の先輩が目から離れなかった。 「佐祐理さんも、留美さまがお気になるのね」 「留美さまの妹にならないのです?」 留美さまを見ているのだと思われたのか、周りの人が自分に話し掛けてきた。 その質問を、柔らかに否定する。そして、決まった返答を聞く。 「ふふ、佐祐理さんに釣り合う方となると、 いくらお姉様方と言えども中々居られませんですわ」 「成績は中等部で3年間トップを守り通し、芸術,運動も成績は上位。 その上、倉田財閥のご令嬢…。 佐祐理さんこそ、リリアンを率いていくに相応しい方ですわ」 周りの人達は嬉々として話す内容を聞きながら、小さくため息が出た。 それは、短期間で何度も繰り返されたやり取りだったからだ。 高等部に入って、私は両手では軽く余る程のスール申し込みを受けた。 しかし、その全てを私は断ってきた。 その理由は決して釣り合う釣り合わないではないのだけれど、 周りにはそう写ってしまっていたようで、すぐに噂が流れ始めた。 倉田佐祐理は、薔薇様を目指している 当然そんな事はない。 大体、私なんかに生徒を纏める薔薇様なんかが勤まる訳はないのだ。 しかし、日々噂は大きくなっていき、私は憂鬱な日々を過ごしていた。 そんな時、私はマリア祭に向けた準備を行う留美さまと、その横に立つ緑髪の上級生を見た。 クラスメイトに話を聞くと、その上級生は広瀬真希というお名前らしい。 真希さまは留美さまが活躍された襲撃事件に関っていると言われ、 事件が終わった後、学校中で彼女に関する噂が飛び交った。 曰く、薔薇様に気に入られた留美さまに嫉妬したとか 曰く、リリアンかわら版に載った写真を撮った張本人であるとか どれが真相かも分からない大量の噂が飛び交う中、 事件の後も留美さまと関りをもつ真希さまを快く思わないものは多数居た。 しかし、そんな周囲の声にも負けず、留美さまの周りで留美さまを助ける真希さまの姿は、 私には凄く輝いて見えたのだった。