「佐祐理さん!」 取り巻き達が驚き、後を追おうとする。 その時、1つの影が彼女等の前に出た。 「貴方達は…来ないで」 「貴女は…確か一年菊組の…川澄舞さん…。 中学の頃に佐祐理さんとよく一緒に居られた方ね?」 その言葉に頷く少女。そのまま少女は言葉を紡ぐ。 「貴方達は、佐祐理の傍に居ない方がいい…」 「…それはどういう意味かしら?」 「言葉どおり」 「…いきなり現れて何をおっしゃるかと思えば…。 私達は友人の佐祐理さんの為に一緒に居るのよ?」 「高校になって佐祐理さんから離れた人に、 そんな事を仰られる謂れはありませんわ」 舞は静かに皆を見つめていた。彼女らの言っている事は正しい。 高校になって、舞と佐祐理はクラスが分かれた。 そして舞が部活に入った事で、少しずつ佐祐理と会う機会が減っていった。 とはいえ、会おうと思えばいくらでも会えた。 会わなかったのは、佐祐理に新しい友達が出来ていたからだ。 下手に自分が居ない方が、新しい友達とも親しくなれるだろうと考えての事。 しかし、実際見てみると今の佐祐理の笑顔は薄っぺらいものだった。 故に舞が佐祐理の友達と見ていた彼女らを確かめるべく、舞はこの場に出てきた。 「…佐祐理が…なんで泣いているか分かる?」 「それはもちろん、真希さまに弟さんの事を言われたからよ」 「それで?」 「弟さんが死んだ時を思い出して、悲しくて泣いてしまったのよ」 その言葉で、舞は確信する。 彼女らは、佐祐理の表面しか見ていない事に。 これ以上話す事はなかった。 「…私は行く。貴方達は、来ないで」 「どうして、私達が行ってはいけないのかしら?」 「勝手ではございません事?」 「はっきり言わないと…分からないの…!?」 舞の声と瞳は、色々言う取り巻き達を一瞬で硬直させた。 真希の威圧を受けた直後に舞のそれを受けた彼女らは、 静かに去る舞を追う事無く、その場に佇んだままだった。