佐祐理達と別れた真希は、とある花の前まで歩いていった。 その花の名はロサ・キネンシス。温室に咲いている花の1つだった。 そして、そこは雪見と留美がスールの契りを交わした所でもあった。 「私には、無理なのかもね…」 花の前に立った真希は、誰ともなく呟く。 先ほどの下級生達の言葉。留美の事まで言われたのは真希の心に響いていた。 留美の力になる。その言葉に偽りはない。 しかし、今のままだと留美にまで悪い噂が広まってしまうかもしれない。 「要はやり方よね」 留美の周りに居なければいいのだ。そして影ながら助力する。 これで留美に迷惑をかける事はなくなるはずだ。 「だけど…周りに居ずに出来る事って何があるかしら…」 考えるが、あまり思い浮かばなかった。 2月の薔薇様選挙での支援なども考えられるが、 留美ならば恐らく支援が無くとも当選するに違いなかった。 「まあ、留美が困った時にこっそり相談に乗るくらいは出来るわ」 こんな私に相談してくれるかは分からないけれど。 「何故…」 思考は聞こえてきた声で中断された。 「貴方はそうまでして留美さまを…」 振り返ると、佐祐理さんが居た。 「私は…留美に救われた。ううん、私だけじゃない。私の家族皆が留美に救われた。」 「そして、私は留美に酷く当たった時期があったわ」 「一般的に理由はその2つかしら。言わば恩返しと罪滅ぼし」 「と言ったら、納得してくれるかしら?」 「えっ?」 「今のはとってつけた理由。一番の理由はね、簡単な事なのよ」 「私は留美が好きなの。だから留美の力になりたい。それだけよ」 そう言って笑う真希さまは、とても綺麗だった。 「でも、その事で色々と真希さまは…」 「いいのよ。もう慣れたわ。」 「今みたいに留美の事まで言われたのはちょっと堪えたけれど。 それもいい勉強になったわ」 「強い…ですね」 その時、ザッという音がした。 見ると、黒髪を風に靡かせた少女が、温室の入り口に立っていた。