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 家の探索を続ける秋葉に、情報が舞い込んできた。
自身の能力、「檻髪」で張り巡らせたセンサー代わりの髪に侵入者が触れたのだ。
急いでそこに向かった。

「この館に侵入するなんていい度胸です!」

 果たして侵入者は居た。
即座に侵入者を囲むよう檻髪を張り巡らせる。
触れれば相手の熱を奪う不可視の線が、侵入者を幾重にも囲んだ。
 その上で、相手に向かう檻髪を放つ。
その速度は相手を視て秋葉が認識するまでというほんの数瞬。

 しかし、侵入者にはその間で十分すぎた

 侵入者が動く。
とっくに発動していいはずの秋葉の檻髪は発動しない。
触れれば熱を奪うはずの周りの髪も、一切機能していない。

 悠々と包囲網を突破した侵入者は、秋葉の目の前に数本のナイフを投げた。
ナイフは秋葉の胴に密着した状態で動きを止める。

「そして時は動き出す…」

 侵入者が言葉を発した次の瞬間

「うぁっ!!」

 ナイフは思い出したかのように秋葉にぶつかった。
念のため自身を檻髪でガードしていた為刺さる事はなかったが、
その威力に吹き飛ばされて館の壁に激突した。

(うっ…や、やられたの?…な、何が起こったのかすらわからなかった…)

 肺の中の空気を一気に吐き出して咽ぶ秋葉。
その脳裏に浮かぶのは、愛しい兄の事ではなく、ある疑問だった。

(何故…相手は檻髪の前に居るの…?)

 檻髪での包囲網。生半可な事で突破できるものではない。
突破できたとしても、目の前で相手が何かしたら分かるはずだ。
しかし、檻髪には何の変化もない。
 その上、自分は相手を見たのだ。
放たれる檻髪に絡めとられているはずだが、それもない。

「ぐっ…!」

 ぶつかった壁から、ずりおちるように床へ座る。
視線の先にはナイフがあった。

(あのナイフ…どこから…?)

 最初の衝撃はお腹にあった。
投げたとしても周囲を囲む檻髪で消せる。
何より、自分が直前に見た光景では、相手と自分の間にナイフなんてなかった。

(ま…さか…!)

 一瞬で目の前に移動してきた相手と、
気がついたら自分のお腹の前にあったナイフ。
 つまり、相手は檻髪の包囲網を潜り抜けたあと、ナイフを投げた事になる。
その時間はどう見積もっても0.01秒以下。

 ここから導き出される結論は1つ

(時を…!時を操れるとしか考えられない…!)

「秋葉!!」

 思考はそこで中断される。志貴の…愛しい兄の声が聞こえてきたからだ。

(いけない…!兄さんに…この事を伝えないと…!)

 秋葉は、今ある最後の意識を振り絞った。

(メッセージよ…兄さん…。今できる精一杯の…)

 秋葉の意識が飛ぶと共に、反対側の壁にかけてあった時計が破裂した。




「なっ!」

 見つけたと同時に気絶した秋葉。そして破裂した時計。
時計の破裂が秋葉の仕業と分かった志貴は、
侵入者と戦いながら必死にその意味を考えた。

(秋葉がわざわざやった事だ…何か意味があるはず…)

(時計を破壊する…時を刻むものを破壊…時は刻まなれなくなった…)

「まさか!!」

「秋葉が伝えたかったのは相手の秘密なのか!?」

「そして…それは時を…時を止める能力なのか!?」

 正解に至った志貴は戦慄した。

「やばい…こいつはやばすぎるぞ…!」

 とにかく、時を止められる前に倒すしかない。
次の瞬間、相手に向かって翔けていた。

「疾い!」

 咲夜は目を見張った。
先ほどの相手は技の発動タイミングなども分かりやすかったが、今回は違う。
桁違いに早い。そして速い。一瞬で相手との距離は1/3になっていた。
時を止める方に意識を裂けばそのままやられる。
時を止める事を諦めて、ナイフを構えた。

 二人の距離は一気に詰まり、ナイフが交差━

「あら、咲夜じゃない」

━する寸前で止まった




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