戻る   タイトルへ   進む



「なるほど…事情は分かった」

 居間に再び集まった志貴達。
情報を整理した志貴は、これからどうするか考えていた。

「問題は秋葉だよなぁ…」

 居間の壁を見つめながら呟く。その先には秋葉の部屋がある。
中では、先ほどの戦闘で気絶した秋葉が、治療されてそのまま眠っている。

「要は勘違いなんだけど…」

 侵入者こと十六夜咲夜さんは、
主のレミリアさんを追ってここまで来たらしい。
 そこで、アルクェイドやシエル先輩の気配を感じて、
この屋敷にレミリアさんが攫われたと思ったらしい。
 そして、救出の為に侵入して、後は事の次第と言うわけだ。

「でも、秋葉に説明しても聞いてくれるかなぁ…」

 勘違いとはいえ気絶までさせられたんだ。
理由を聴いても納得しない可能性は高い。
大体、いつも自分が説明しても聞いてはもらえない。
(尤も、聞いてもらえないのは志貴だけなのだが、無論本人は気づいていない)

「このまま帰ってもらうのがいいと思いますよ」

「だよねぇ…」

「出来ればすぐ帰りたいわ。お嬢様の食事が用意してあるし。
それに、そろそろ結界の修復が終わりそうだったから」

「終わったらどうなるの?」

「行き来出来なくなると思うわ」

「大変じゃないの!早く行くわよ!」

 それを聞いたアルクェイドが立ち上がった。

「そうですね…。このままこの街に居るとロクな事が無いと思いますし」

 シエル先輩も立ち上がった。

「よし!じゃあ今からその結界に向かおう!
秋葉には、俺から後で説明しておくよ」

「お詫びを言っておいてね」

「分かってる」

 そして、一行は結界へと向かった



「これは…」

「はぁ〜…」

 結界の前で、アルクェイドとシエル先輩がため息をついている。

「魔法と言っても差し支えないわねこれは…」

「こんな結界を張れる者が、誰にも知られずに現代に生きているなんて…」

「違うわよシエル。こんな結界を張れるからこそ誰にも知られないのよ」

「そうですね…。まあいいでしょう」

 言われて注意して見て初めて分かる結界だった。
並の者では認識する事すら不可能。
 また、結界のある場所を撮った写真などにも、
場所自体を認識出来ない効果を付随するという、
隠蔽と言う意味では完全無欠の結界である。

「じゃ、私たちは行くわ。参りましょう、お嬢様」

「世話になったわね」

 その結界に二人は近づいた。
途端に、二人の存在が希薄になってゆく。
直に話しているというのに、まるでそこらの通行人を見ているような感覚。

「存在無意識の効果まであるんですね…」

 シエル先輩が何かを呟いていた。

「もう会う事は無いと思うけれど」

 存在が無くなる直前、レミリアさんが振り向いた。

「もし会ったら、今度は決着をつけましょうか」

 そう言って笑いながら、レミリアさんは結界へと消えた。
ホッとする二人の横で志貴は固まっていた。

 思い出したのだ

 襲った事、それが無かった事になった事。

「よかった…何事も無くて…」

 真の力を垣間見た志貴は、そう一人ごちた。


戻る   タイトルへ   進む