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「…?」
家の戸締りを終えて、外に出た紫が見たものは、
一瞬にして消え去った式の姿であった。
「何が起こったのかしら…」
「紫様ー!」
そう考えていると、上空から声がしてきた。
見ると、己の式神である藍と橙が降りてくる所だった。
「探しましたよ…。何処に行かれていたんですか…」
ちょっと非難交じりの声。どうやら心配して探し回っていたらしい。
「心配ないわ。近くに散歩してただけよ」
「まあ、それならいいですけど…」
「じゃあ、家に入りましょうか」
式との約束はすっかり忘れたのか、紫は式神達と家へ戻った。
「あれ…?紫様、ここにあった刀はどうしました…?」
「ああ、刀なら親切な人にあげたわよ」
「えっ?あれはご神刀ですよ…?人に扱えるものでは…」
先ほどの刀に正式名称を付けるとすれば『菊一文字則宗 真打ち』であろう。
真打ちとは2振り打たれた同じ刀のうち、よく出来ている方を指す。
真打ちの刀はご神刀として神に奉げられ、もう一振りが世に出回る。
脆い白木が柄に使われるなど、本来ご神刀は実用に耐えないよう作られている。
よって見る者が見れば一発で分かるのだが、先の刀は柄が実践用の柄に変わっていた。
「ご神刀は単なる儀式的な刀でしょう?」
「あれは本当に神懸り的な力を持っていると、
以前紫様自身が仰っていたではないですか…」
幻想郷に影響されたのか紫に影響されたのか分からないが、
先の刀は現在、儀式的な意味での神刀ではなく、
本当に不可思議な力を持つ文字通りの「神刀」と成っていた。
「そうだったかしら」
「そうですよ…。忘れないで下さい…」
「じゃあ、さっきのは刀が原因なんでしょうねぇ」
そう言って紫はある方角を見た。ある桜が立っている方角だった。
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