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「…う…」
目覚めた私は、一瞬自分の家に居ると思った。
畳敷きの床に四方を覆う襖。それは自分の家にある部屋そのものだったからだ。
部屋の至る所にある華麗な扇や屏風,欄間などを見つけ、
ここが自分の部屋ではない事を式が認識していると、襖の一角が開いた。
「あら、目覚めたのね」
そう言って部屋に入ってくる少女。
それを見た時、血が騒いだ。アレは、正常な者ではないと。
「お前、何者だ」
「幽霊よ」
あっさり自分の考えを肯定される。
「……幽霊が俺に何の用だ」
「せっかく刀から助けてあげたのに、その言い草は酷くないかしら?」
「刀から助けた…?」
そこで思い出す。八雲紫と名乗る妖怪に貰った刀の事。
周りを見たが刀はなかった。
「俺が持っていた刀はどうした?」
「刀なら妖夢が調べてる最中よ」
「妖夢?」
「うちの庭師よ」
「調べているというのは、どういう事だ…?」
「それは私から説明しましょう」
その言葉に呼応したかのように少女がもう一人入ってきた。
「あら妖夢、何か分かったの?」
どうやらその少女が妖夢というらしい。
「ええ、どうやらこの刀は御神刀のようです。
尤も、形だけではなく本当に何かが宿っている刀のようですが、今はもう大丈夫です」
「その何かに操られたのね」
「そうだと思われます。ここに現れた理由は分かりませんが…」
「ああ、それは私が知っているわ」
「一体何の事だ…」
会話の意味が分からずに聞くと、先ほど入ってきた少女が非難の眼を浴びせてきた。
「貴方が、刀に操られて私達に襲い掛かって来たんでしょう…」
そう言われて気づく。刀を手にして今までの記憶がない事に。
そして、今も体に残る満足感のようなもの。
…そう、丁度荒耶や白澄との死戦を終えた後のような。
記憶がない間、誰かと戦っていたのは間違いないだろう。
そしてそれが恐らく目の前の二人である事も。
「…悪…かったな…」
素直に詫びを入れる。突然殺そうとしたのだから当然だろう。
というか、謝って住む問題ではない気もするが。
「まあいいわ。憑かれていたなら覚えてないのが普通だから」
「…そうですね。結果的にですが何事もなかったのですし」
「そういう事。それよりも、貴方に少し聞きたい事があるのだけれど」
「なんだ…?」
「貴方…というのも煩わしいわね。先にお名前を聞いていいかしら?」
「両儀式だ」
名を告げると、目の前の少女は少し目を細めて話を続けた。
「両儀…なるほど。死が視える貴方の眼は、貴方の苗字に起因してそうね」
「なっ…?!」
心臓が飛び出るほど驚いた。
直死の魔眼を素で見抜いた相手は今まで一人もいない。
「図星のようね。貴方の眼から同じ気配を感じたから、もしやと思ったのだけれど」
「同じ気配だと…?」
「私も、死を操る程度の能力を持っているから」
そう言って、目の前に小石を出した少女は、その小石にそっと触れる。
次の瞬間、小石は割れた。そして私ははっきりと見た。
小石が死の点から死の線にかけて割れる様を
「ここに来たのも、恐らく西行妖と貴方の眼が反応した所為でしょうね」
「…お前、何者だ…」
割れた石がコロコロと揺れる中、私は改めて問う。
今の出来事をさらっと流して語る目の前の少女に。
「ここの主、西行寺幽々子よ」
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