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「お嬢様、朝食の用意が整っております」

「ああ、すぐ行く」

 秋隆の言葉に返事をしつつ、持っていた刀をしまう。
いつもの着物に着替えながら部屋を出ようとすると、その刀が見えた。
刀を見て思い出す違和感の原因は未だに分からなかった。
 変な奴と会いその刀を貰った事,それが原因で暴走した事,
幽霊と話をした事などは全て覚えているが、それがどこだったのかが分からない。
 刀そのものも分からない。新しいようでもあり古いようでもあるそれは、
一流の刀に違いはないが、何の刀なのかは式はおろか専門の鑑定士すら分からなかった。


 これこそ八雲紫の最深奥義

幻想郷『夢か幻か』

 の効果であった。

 簡潔に言えば、ある一連の事柄を曖昧にする技である。
実際は、事柄の中の事実が消滅したり捏造されたりする。
 技をかけられた式は、紫に会ってから切りかかるまでの事柄が曖昧になった。
しかし、この技は事象内の全てが曖昧になるわけではない。
 式の場合は幻想郷に行った事が曖昧になったのである。
結果、式は突然自分の部屋に戻ってしまったのだ。

 予想を越える式の速度に紫は完全に狙いを定められず、
刀にも技の影響が及び『菊一文字則宗』はその存在を曖昧にされた。
正しく幻の刀となってしまったが、元々曖昧な名称なので影響は無かった。

 そもそも幻想郷に行っていなければ刀が式の手元にある訳はないのだが、
その辺りの矛盾が訂正されないのがこの技の最深たる所以であり、
八雲紫が胡散臭いと一部で評される原因なのかもしれない。


 まあ、特に生活に影響は無く、式はちょっとした違和感を感じながらも普通に暮らす。
幽々子や紫もまた、いつもの生活に戻った。ちょっとした変化は終わったのである。

 しかし、幻想郷は現世と隔離された不可思議な空間。
故に不可思議なものは隔離を超えて紛れ込む場合もある。

「惣太、気をつけて下さい…」

「どうしたんだ、リァノーン?」

「ここは…異界です」

 そう、現世にも、まだまだ不可思議な者は居るのだから…

「VJEDOGONIA」伊藤 惣太,「夜魔の森の王」リァノーン:迷子
ToBeContinued…?


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