月明かりの下、自分はまたここにいた。 そこは、明かりも人も届かない場所。そこに、6つの人。 彼らはめまぐるしく動き回り、やがてそのうちの4つは消えた。 普通、人間はその活動の一切止めようともそこに在るはずだが、文字通り消えた。 そんな彼らは、既に人間ではなく、グールと呼ばれる。 2人になった時点で動きを止める。動く必要がないからだ。即ち、 自分とアルクェイド・ブリュンスタッドは、任務を完了した。 「ふぅ…」 アルクェイドが声を出す。一仕事終えたような声だった。 いや、実際に一仕事終えてるんだが…。 「これで、今日のパトロールは終りかな……どしたの?」 『あ、いや、なんでもない』 いつも通りの格好でいつも通りに喋るその姿。 かつて白色の姫と出会ったこの場所で見た姿だった。 「ふぅん。まあいいや。それにしても、何かあったのかなぁ…?」 『うーん、俺にはよく分からないんだけど』 「死徒の気配は無いし、もし居たとしてもこんなに増える事は無いわ」 『そうなのか?』 「うん。自分の姿を隠そうとする奴が、こんな目立つような事はしないわ」 『確かにな…』 「かといって、またシエルが操ってるわけでもないし…」 「当たり前です!」 そんな声が上から聞こえた。見ると、ビルの外壁の僅かなでっぱりに立つ、 シエル先輩が見えた。まこと、Ciel(空)の名に相応しい。 そういえば、L'Arc-en-Cielという有名アーティストが居るが、 自分の知り合いの間では、何故かこの名前は禁忌になっている。謎だ。 「私も先ほど、グールを一体仕留めました」 「ん〜、どうやら色んな所でグールが発生してるみたいね」 「少し、調べてみましょう。あまり気乗りはしませんが…」 「メレム辺りに連絡するの?」 「……」 変な事を考えているうちに、シエル先輩は必要な会話だけして行ってしまった。 アルクの言葉が色々図星だったのか苦い顔を残した先輩が、 消える前にしていた会話を聞いて、ふと、妹を思う。 妹の「遠野秋葉」は、現在学園交流の為に遠方の学校へ赴いている。 確か後輩の瀬尾晶ちゃんも一緒だ。もし、グールがその町でも発生したら…。 秋葉は…大丈夫だろうか… そう思いながらアルクを見る。その時には、アルクは遥か先に居た。 慌てて追う。そして辿り着いたその先に、一人の女の子が立っていた。