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 アルクェイドとシエル先輩の、いつもの馴れ合いが収まって、再び会話が開始された。
 馴れ合いにしては、1つの部隊くらい滅ぼせそうな威力がある代物が
いくつか出てきていたが気にしない方がいいだろう。
 というか、気にしていられない。気にすべきは、
「最終的には志貴さん次第じゃないですか?」
という、満面の笑みを浮かべた割烹着の悪魔の一言で、
双方引いて一段楽したという所だろうから。

『ところでさ、そんなにヤバイ奴等なの?』

 遠い未来に死亡もしくは半死が確定してるのだが、
いや、しているからこそ今を自由に生きねば!
 という事で、相手方の情報を一応貰っておく。

「そうですね。彼等は先の通り、ダークストーカーズと呼ばれている者達です。
その境遇は様々ですが、全員戦闘に非常に長けています。
 私やそこのアーパー吸血姫のような戦闘経験者相手だったとしても、
少々の能力差はひっくり返してくると思います」

「また、不死性に関しては全員トップクラスですね。
各々種族の弱点と呼ばれる武器を打ち込んでも大した効果は望めません。
無論、第七聖典クラスとなると、話は別ですが。」

 …つまり、戦い慣れしている上に少々攻撃を当てても無駄って事か。
しかし、問題はそのレベルだと思うんだが…。それについてはすぐに答えが返ってきた。

「これが彼等の特徴です。次に個人的な事について。
過去の戦闘データなどから、彼等は大体互角の能力を持っているとされています。
しかし、実際はそうではないと思います。少なくとも二体ほど、飛びぬけた力を持つ者が居ます。
どうやら、その2体はデータの基となった戦闘を、馴れ合い程度にしか考えてないみたいですね」

「まずは先ほど名前が出た、デミトリ・マキシモフですが、
彼は吸血鬼の一種です。その特性は真祖に近く、
一般的な吸血鬼の弱点を殆ど持っていない特殊な吸血鬼。
 唯一の弱点である太陽光も自身の力で克服した彼を、
我々は『例外』という呼称で呼んでいます」

「具体的な戦闘能力はわかっていませんが、少なくとも27租クラス。
もしかしたら上位に食い込むかもしれません。」

 なるほど…。死徒最強の27人に匹敵するなら相当強いはずだ。
しかも戦闘経験豊富。これは警戒して然るべき相手だろう。

「で、もう一人が『夜の女王』モリガン・アーンスランドです。
彼女は確認されている限り、史上で最上級の夢魔です。
 戦闘とはあまり縁の無い夢魔ですが、彼女の力はデミトリと同じく、
単純な戦闘能力だけでも、間違い無く27租に匹敵するでしょう。
 また、高級な夢魔の場合、異性はまず逆えません。
遠野君が彼女と相対して勝つ術は、彼女が気づく前に倒す事しかないでしょうね。
気づかれた瞬間に、遠野君は心まで骨抜きにされてお仕舞いです」

 なるほど…。レンの強力なバージョンといった所か。
骨抜きかぁ……まあ、それはそれで……嘘です。
だから目を金色にするのは止めて下さいアルクェイドさん…。
というか、思考を読まないで下さい…。

 一通り説明が終わった所で、
こちらとしてはどうしても聞かないといけない事を言葉にした。

『なら…さっき公園であった弓塚は…?』

「彼女もグールとおなじく、生き返った者の一人と思います。
ただし、元来霊的ポテンシャルが高く、自我を保てたのではないかと」

「そうね。気配はグールと同じだったけど、感じる力は半端なものじゃなかったわ。
本気出さないとこっちがやられる可能性もあるくらいに」

『だからって、いきなり襲うな』

「だって…彼女から…」

「ロアの気配がしたんでしょう?」

 その言葉に頷くアルクェイドを見て、愕然とする。
ロアだって…?奴は弓塚と同じく、間違い無く俺がこの手で…
…ああそうか。気づかなかった。その弓塚が蘇っていたと言う事実に。
 
『復活したのは、弓塚だけじゃないのか…?』

「恐らくは…」

「そうよ。私もそう考えたからこそ、彼女だけでも先に倒しておこうと思ったのよ」

「その割には、あの時空想具現化を解いたようでしたが?」

「え、違うわよ。解いたんじゃないわよ」

「多分、彼女が自分の能力…多分固有結界だと思うわ…で、
私の空想具現化を無効化して、更に自分の腕を再生させたのよ」

「なっ…!あの子は死んでいた期間を含めても、死徒化してまだ数ヶ月ですよ?!
それで貴女の空想具現化を凌げるような固有結界を使えるのですか?!」

「多分。少なくとも、私の空想具現化を破るには、最低でも固有結界クラスのものが必要よ」

「いくら一度死を体験したとはいえ、信じられません…。
もしかしたら、現時点で27租に入る実力を持っているかもしれませんね…」

「問題は、吸血無しで腕を再生したところと思うんだけど…」

「…そうですね。いずれにせよ、このまま放っておく訳にはいかないでしょう」

 そうだ…。弓塚の事を想うなら、どちらにしろまた会うしかない。
何より、会えるなら、彼女に会いたい…!

『しかし、どうするんだ…?』

「ん?今までどおりよ」

 俺の質問に対して、アルクェイドはしれっとそう応える。

『今までどおり?何でだ?』

「今回の騒ぎの張本人を見つけて潰す必要があります。
そのためには、相手の居場所が判らないといけません」

「そう。グールを倒しつづければ、向こうもこっちに対して
何らかの動きをせざるを得なくなるから、そこを逆に叩くのよ」

「その通り。今は、情報集めとグール退治ですね。
あんなものが町を徘徊するのは気分が悪いですし」

『そりゃそうだ。じゃ、決まりだな。』

「「と言う事で、志貴(遠野君)は私と一緒に行動(です)ね」」

 その後はいつも通り、Round2へと洒落込む方々を、
詳しくは明日決めるから今日は解散。と宥めて解散させ、床へつく。
 その際、屋敷の外で気配を殺す、謎の存在に気づかなかったのは、
志貴の落ち度ではないだろう。
何せ、アルクェイドもシエルも気づかなかったのだから…。

 夜の帳が居りきった頃、その存在は動き始める。深い闇の中にメッセージを残しながら。

「うふふ…今夜は楽しい夜になりそうね…」

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